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第32話 夜のドライブ

作者: marimo
last update publish date: 2026-06-26 21:44:20

「あれ、優さんだけ?みんなは帰ったんですか?」

 店の外に出て、ひかるは思わず足を止めた。

 駐車場に残っていたのは、車にもたれかかる藤崎 優ひとり。

 夜風に混じって、微かに煙草の匂いが漂う。

 ひかるが驚いて聞くと、藤崎 優は何も言わずに煙草の火を消し、灰皿に押し付けた。

 そして、助手席のドアを開ける。

「ひかる、ちょっと付き合え」

 突然の言葉に、ひかるは首を傾げる。

 けれど、その声に強さはなく、どこか昔と変わらない軽さがあった。

「また優さんの気まぐれですか?」

 そう言って、くすっと笑い、素直に助手席に座る。

 藤崎 優はドアを閉め、自分も運転席に乗り込むと、短く言った。

「シートベルト」

 ひかるは慌ててシートベルトを引っ張ったが、途中でロックがかかり、動かなくなった。

「あ……」

 焦って何度か引き直すひかるを見て、藤崎 優は小さく笑う。

「慌てなくていいよ」

 そう言って、ひかるの前に手を伸ばした。

 近づく気配に、ひかるは一瞬だけ息を止める。

 優はシートベルトを軽く緩め、そのままひかるの体に沿わせるようにして、カチリと留めた。

「ありがとう」

 ひかるは照れた
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